日常業務で取り扱う製品について「なんでこんな事になっているんだ」と常々不満に感じているものがいくつかありました。 今回はちょっと手を加えてこの不満を改善してみました。 簡単な加工を加えただけですが思いのほか改善の効果が実感できたのでご紹介いたします。

<バルブハンドルの向き>
当施設で液体ヘリウム容器やヘリウムガス配管等に用いられているボールバルブは広く一般に利用されている汎用品です。 このボールバルブのハンドルには平たい板状のものが用いられていますが、この板の向きについて以前よりずっと不満を感じていました。 製品のハンドルは板の広い面が可動方向に対して平行になっています。 しかしどう考えても可動方向に対して広い面が直交している方が操作しやすいと感じます。 例えばドアノブや蛇口のレバーハンドルなども直交しているものが多いです。 狭い側面を押すよりも広く平たい面を押す方が力が伝わりやすいからです。 製品のボールバルブがこのような設計になっているのは何らかの意図があるのかもしれませんが 日頃から操作する側としては「なんでこんな構造になっているんだ」と常々使いづらく感じてきました。 そこで今回は既存のハンドルを90度ひねって使い勝手を良くしてみました。

製品(左)とハンドルをひねった改良品(右) 別角度から
 
可動方向に平行:狭い面を押す 可動方向に直交:広い面を押す=操作し易い
 
加工はハンドル部を取り外して万力に固定してモンキーレンチで挟んでひねりを加えました。 ものすごく硬い様ならば諦めようと思っていましたがやってみると意外と簡単に曲りました。 極低温室で日常的に開閉操作している利用頻度の高いバルブについては全てひねり加工を施しました。 使い勝手はやはり意図した通りとても良好です。

液体He容器のバルブを加工 なかなか使い勝手が良いです
 
学生の反応も良いです 使用頻度の高いバルブに適用



<ガスメーターカウンターの配色>
当施設では配管を流れるガスの流量を測るため積算流量型のガスメーターを設置しております。 しかしこのガスメーターはカウンターの配色に難がありました。 ”黒地に白文字”が基本ですが小数点以下はなぜか”黒地に赤文字”になっています。 これは本当に見えづらいです。 設置場所が薄暗いところや直近まで顔を近づけられない場所で毎回ライトで照らすたびに「なんでこんな配色になっているんだ」と不満に感じてきました。 同様のガスメーターで日常的にカウンター値を記録している人なら同じ不満を感じている人も多いと思います。 そこで今回は赤文字をインキで白く塗って”黒地に白文字”へ改良してみる事にしました。

赤文字と白文字の見え方比較 白の方が全然良いじゃないですか!
 
加工は塗るだけと至ってシンプルながら非常に根気のいる細かい作業となりました。 元々手先は器用で昔から細かい作業は得意でしたが、最近は歳のせいか細かい作業が下手になっていくのを薄々と感じていました。 今回もペン先が震えてしまいかなり雑な仕上がりとなってしまいました。それでも遠くから見ると意外ときれいに見えるので結果オーライとします。 とても地味な作業でしたが見返りは絶大、視認性が以前より格段に良くなりました。 これで長らくの不満も解消され大成功です。もっと早くに試すべきでした。

”8”のような複雑な形状は難しい 接近して見ると仕上がりは雑です
 
視認性が大幅改善しました 薄暗くても見える



<スイッチボタンの操作性>
高圧ガスや低温とは関連性はありませんがこちらも作業環境改善に該当するのでご紹介します。 極低温室では冷房機器として従来型のボタンを押してオン/オフ/風量選択するメカ式扇風機を多数利用しています。 扇風機の起動はいつも足で操作しており、わざわざしゃがんで手で操作する事はほとんどありません。 世間一般でも立ったまま足で操作する人が結構多いのではないでしょうか。 この場面でいつもストレスに感じるのが隣のボタンも同時に押してしまったり、押し方が甘かったりなど起動がなかなかできない時です。 やはり足では手のように細かい操作はしにくいです。 自宅では素足で操作できますが職場では靴やサンダルを履いているため尚更操作ミスが多くなります。 例えば「幅10cmバカデカボタンON/OFFだけ」のような足踏み操作に特化したモデルをメーカーが開発してくれればいいのにといつも不満に思ってきました。 そこで今回は足踏みし易いように改造してみました。 私の場合操作するボタンはいつも「強」と「切」だけです。「弱」「中」はほとんど使わないので無くても困りません。

板を貼って下にバネを入れてみた おぉ、これは良い!
 
加工は非常に簡単でアクリル板をガムテープで貼って板の下に支えとしてバネを両面テープで固定しただけです。 ガムテープはたまたま白いタイプがあったのでそれを使ってみたところいい具合になじんでくれました。よくある茶色いテープだと少し見栄えが悪くなるかもしれません。 アクリル板は収納ケースの仕切板が大量に余っていたので流用しました。板厚は2.0mmあり強度的にも問題なさそうです。 使い勝手は非常に良好です。板厚が絶妙なのか「中」を一緒に踏んでしまっても問題ありません、「強」だけが押されます。しばらくは操作するのが楽しい日々が続きそうです。 気掛かりなのは耐久性です。足で踏む行為は結構負荷が大きそうです。 1シーズンもてば良しと言ったところでしょうか。 いずれテープが剥がれたりバネが取れるかもしれませんが作りが単純なのですぐに補修できます。

Wバネ仕様 首振りボタンは穴を開けて回避
 
狭いところで使うのに適した円筒形タイプの扇風機をデスク下の足元に置いて使っていますが、この扇風機もスイッチボタンの操作がネックでした。 メカ式扇風機は電源ボタンを押したままにしておけば通電と同時に起動できますが、この円筒形の扇風機は通電と同時には起動せず毎回ボタン操作が必要なタイプでした。 足の指でまさぐって使っていましたが目で確認できない上に小さいボタンが並列しているのでなかなかうまく操作できません。 そこで操作棒を設置することを思い付きました。 電源ボタン直近にシリコンチューブを取り付けて金属パイプの端切れを刺し込みました。操作棒の両端にはゴム栓をはめてます。 シリコンチューブの柔軟性でうまい具合に操作棒が動かせます。 デスク下では操作棒の可動ストローク分のスペースが必要なのでデスクとの間に小さな角材を入れてます。

操作棒を取り付けてみた 軽く叩くだけでオンオフが簡単