物理学科/物理学コース紹介
物理学は、私たちのまわりの自然界の諸現象の奥に存在する法則を、実験事実をよりどころとして追及する学問です。そこでは、これまでの自然探求により得られた成果を基礎とし、未知の自然現象を探求し、そこから新しい法則を見つけ、多彩な物質的存在の諸性質とそこに宿る普遍的な構造を明らかにしようとする努力が続けられています。その対象は、素粒子、原子核、固体・液体などの凝縮系、星、銀河、宇宙というように、ミクロの世界からマクロの世界、さらには宇宙の存在そのものに渡っています。物理学の進歩は、人間が世界および自然をどのように理解し、そのなかでどのような活動をしていくかという文化の基本課題に大きな影響を与えるとともに、その成果は、電気、電波、半導体素子、コンピュータ、X線やMRIといった医療機器、レーザー、原子力、等々を通じて私たちの日常生活のあらゆるところに入り込んでいます。
南極点にそびえ立つニュートリノ観測施設 非線形物理学におけるパターン形成実験 光物性実験の調整作業
このように、物理学の対象は多岐にわたり、またそれぞれにおいて驚くほど豊富な内容を含んでいます。これらに対応するため、千葉大学理学部の物理学科には、制度上、基礎物理学講座、計算物理学講座、凝縮系物理学講座という3つの講座が作られました。しかしながら現在では、急速に進歩する教育研究活動に対応できるように、これら3つの講座を横断する形で次の9の教育研究分野が作られ、より機能的に運営されています。基礎物理学的な教育研究活動を担う分野には、素粒子物理学、原子核物理学、宇宙物理学という3つ理論物理学の分野と、ニュートリノ天文学という実験物理学の分野があります。計算物理学的な教育研究活動を担う分野としては、上記の原子核物理学、宇宙物理学に加えて、物性物理学の理論部門を担当する強相関電子系物理学、ナノサイエンスという2つの分野があります。また、凝縮系物理学の研究教育活動は、上記の物性理論の2分野と、物性物理学の実験部門を担当する電子物性物理学、光物性・量子伝導物理学、非線形・ソフトマター物理学という3分野によって担われています。各分野で具体的にどういった教育研究活動が行われているかについては、別ページに示すそれぞれの分野の紹介をご覧下さい。
さて、物理学のどの分野を探求するにも、その基礎となっている力学、電磁気学、量子力学、熱・統計力学などを十分修得することが必要不可欠です。本物理学科では、これら物理学の基礎科目の講義と演習、および実験指導が、きめ細かく整備されたカリキュラムに基づいてなされています。また、物性物理学、原子核物理学、素粒子物理学、宇宙物理学といった専門的な講義、および物理学に必要な数学などの講義が、学生の要望に十分こたえられる形で数多く開講されています。さらに4年次には、希望する分野の研究室に所属することにより、各専門分野の研究指導を、少人数教育の形で受けることになります。これらにより、物理学のしっかりした基礎知識を身に付けることが可能となっています。なお、特に優秀な成績を修めた学生には、3年間で大学を早期卒業し、大学院に進学できる制度も用意されています。
本物理学科の卒業生は、ここ数年を見ると、ほぼ半数以上が、本学の理学研究科をはじめとする大学院課程に進学しています。本学大学院の物理学コースには、学部4年間で得た知識をさらに発展させ、より高度な物理学の専門知識を身に付けることができる教育プログラムが用意されています。上記のそれぞれの教育研究分野は、決して学部4年間の教育のためだけのものではありません。そこでは、各分野の紹介に示すとおり、博士前期課程・博士後期課程の学生のための高度な教育研究活動が、同時に行われています。博士前期課程の修了者には修士の学位が授与され、現代のハイテク社会の基盤を担う人材として、あるいは柔軟性ある問題解決能力が高く評価され、社会の広範囲な分野で、指導的立場にたって活躍することが期待されています。また、さらに博士後期課程に進学し、物理学の最先端の研究に従事する学生もかなりの割合になっています。博士後期課程を修了し、理学博士の学位を授与された後には、物理学の研究者として活躍する道が開かれています。物理学科/大学院物理学コースは、みなさんに極めて広範な将来への可能性を提供します。