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原子核の研究とは・・・

 我々の身の回りの物質(我々自身も含めて)は全て元素からできていると言ってよいでしょう。では,その元素はどのようにして作られたのでしょう?実はビッグバン以来の宇宙の歴史の中で,原子核反応により合成されたのです[下図参照。縦軸に陽子数,横軸に中性子数を取り,様々な原子核がどのような過程で合成されたかを表した]。この原子核反応が超新星爆発などの天体現象のエネルギー源にもなります。宇宙の歴史をたどり物質の起源を探るためには,原子核の性質を詳しく知る必要があります。

理化学研究所 リングサイクロトリン10周年記念誌から転載

 では原子核ってどんなもの?100個程度の陽子と中性子が,強い相互作用を及ぼし合いながらわずか原子の約1万分の1のサイズに凝縮し,量子力学の法則に従ってダイナミックに運動している,と言えばイメージしてもらえるでしょうか。当研究室では,そんな原子核の諸性質を,コンピュータも積極的に用いながら理論的に研究しています。量子力学を研究に応用する,あるいは研究を通じて量子力学の理解を深めたい人にも好適です。

具体的な研究テーマ

  1. 元素合成に関わる原子核の性質の研究
  2. 原子核におけるニュートリノ過程の研究
  3. 相対論的場の理論を用いた原子核構造の研究
  4. 量子多体問題を解くための数値計算アルゴリズムの開発
  5. 有限量子多体系での集団運動の発現メカニズムの研究

1. 元素合成に関わる原子核の性質の研究

 上述のような宇宙の進化の中での元素合成過程は,不安定な原子核が関与するため詳細はまだよく分かっていません。しかし近年,不安定核の研究が急速に進歩し[ 不安定核に関する最近の実験(理研) ],元素合成に関する知識も一新されつつあります。当研究室では,元素合成に関与する原子核の様々な性質を,理論的立場から詳しく研究しています。

2. 原子核におけるニュートリノ過程の研究

 質量を持つかどうかも確定しておらず,地球を簡単にすり抜けてしまいなかなか検出できない,謎の粒子ニュートリノ[ K2K実験(KEK) ]。ニュートリノは原子核のベータ崩壊と深く関わっていて,原子核のニュートリノ過程の研究からニュートリノを調べる手がかりが得られます。特に二重ベータ崩壊は,ニュートリノの質量を測定する切り札と考えられています[二重ベータ崩壊(KEK)]。原子核を通じてニュートリノの性質を探るために,二重ベータ崩壊などに関する理論的研究を行っています。

3. 相対論的場の理論を用いた原子核構造の研究

 原子核内の陽子や中性子の運動は光速より十分遅く,非相対論で十分 --- これが今までの常識です。でも本当でしょうか?反粒子の影響は?こんな疑問を追求しています。

4. 量子多体問題を解くための数値計算アルゴリズムの開発

PCクラスター  多数の粒子が量子力学に従って運動している系を厳密に解くために,しばしばスーパー・コンピュータなどを用いた大規模な数値計算が必要になります[ スーパー・コンピュータ・システムの例(東大情報基盤センター) ]。そのためのアルゴリズム --- 大次元行列の対角化法,量子モンテカルロ法[ 量子モンテカルロ法の解説(筑波大) ]等 --- の開発,改良を試みています。

右の写真は、原子核理論研究室で始動するPCクラスターです。 最終的に30個以上の CPU を搭載し、活躍する予定です。


5. 有限量子多体系での集団運動の発現メカニズムの研究

集団運動  陽子や中性子それぞれはもっと複雑な運動をしているのに,原子核全体は単純に振動していたり回転していたりするように見える --- これが集団運動です[集団運動の解説]。単純に考えると原子核は球形ですが,葉巻型やみかん型,さらにはおむすび型のものもあるようです。なぜこのような集団運動が起こるのかを,陽子,中性子と強い相互作用の基本的性質から解明しようとしています。