液体窒素は誤った用い方をすると重大な事故を引き起こしかねない危険なものです。正しい用い方を日頃より心がけましょう。 窒素について ・大気の半分以上(約78%)を占めるもっとも身近な物質 ・沸点は-196℃ ・気化した場合は646倍(0℃)〜729倍(35℃)に膨張 ・無色透明で無味無臭 考えられる危険事項 【爆発】 液体窒素は-196℃で沸騰して気化します。断熱容器に保管していても完全な断熱は出来ません。そのため容器の中では絶えず蒸発し続けています。 液体が気化すると膨張します。窒素の場合体積が約700倍に膨張します。液体窒素のたまっている容器を密閉すると蒸発した窒素ガスが行き場を 失い圧縮されてゆきます。やがてとんでもない高圧に達してしまいます。このため高圧に耐え切れず容器が破裂を起こします。 容器は絶対に密閉してはいけません。 容器をぶつけたり損傷を与えたりすると断熱真空層が壊れる事があります。その場合、熱が逃げるため霜が付着しやすくなります。 容器口に付いた氷が成長して容器口をふさいでしまい密閉状態を作り出す事も考えられます。容器は丁寧に扱いましょう。 密閉してはいけませんが開放し過ぎもいけません。必ず蓋をかぶせてください。あまりに大気に触れすぎると大気中の酸素(窒素より少し沸点が高い;-183℃) が液面で冷却され液化します。やがて液体窒素が液体酸素に置換されてしまいます。液体酸素は非常に不安定で有機物に反応して爆発します。 液体窒素とは比較にならないほど危険です。液体酸素は淡い青色です。青みがかっていたら絶対に使用しないでください。 【窒息】
息を止めても我慢できるのと低酸素濃度の空気を呼吸するのとは全く違います。濃度によっては一呼吸で倒れます。 実験室で人が倒れていた場合、助けに行きたくなりますが下手に入室すると本人も酸欠で倒れかねません。救助の時は冷静に判断 してください。 エレベーターでの運搬について 寒剤(液体窒素、液体ヘリウムなど)はできる限り、階段にて運搬してください。 エレベーターでの運搬は酸欠事故を防ぐため同乗厳禁です。容器のみでの移動となります。 地震、停電、故障などの理由によりエレベーターに閉じ込められるケースが考えられるからです。 運搬方法 @出発階で一人が容器のみを乗せて出発させる A目的階でもう一人が容器を降ろす 途中から低温寒剤の知識のない方が同乗するのを防止するため『同乗しない旨を掲示する』必要があります。参考版を作りましたのでご利用ください。 無人輸送中の容器の固定を確実に行い、エレベーターの混み合う時間帯を避ける等ご配慮もお願いいたします。 ※なおエレベーターでの寒剤容器と人が同乗禁止であることに関しまして「これは法律(高圧ガス保安法)で定められているのか?」 「守らないと罰せられるのか?」とうい問い合わせが多数ありました。これは法律で定められておりませんし、守らなくても罰せられません。 利用者側から危険を回避するために考え出された方法です。命に関わることですので「罰せられないから守らなくても平気」ということではいけません。 【凍傷】 少量の液体窒素が人体にかかった場合、皮膚表面で体温によって蒸発し直接液が触れることは避けられます。もちろん大量の液の場合は凍傷になります。 液中に手などを入れる行為は絶対にしないでください。 液体窒素により冷却された金属等に触れる場合は必ず革手袋をしてください。軍手は使用しないでください。万一液がかかった場合染み込み、 液を滞留させるので非常に危険です。また気化したばかりの極低温の冷気を素通りさせます。衣類も同様なのでかからないように細心の注意を払って扱ってください。 かかった場合は素早く払い落としてください。革手袋はきついものではなくゆるいものを使用してください。液体窒素が裾から中に入り込んだ時に すぐに脱ぎ捨てられるようにするためです。 靴下にサンダル履きやズボンの裾を折り曲げるのも好ましくありません。 「液体窒素利用の手引き」 液体窒素を利用される方は各自一部所持の上、熟読してください。また各研究室での保安教育にお役立て下さい。 危険防止啓発ポスター/ステッカー 寒剤の安全利用を啓発するため危険防止ポスターを用意いたしました。各研究室での保安教育にお役立て下さい。 |