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北原鉄平 (准教授)

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研究

標準模型を超える物理の現象論

2012年に17種類目の素粒子であるヒッグス粒子が発見され、素粒子標準模型が完成しその枠組みが正しいことが証明されたという言葉をよく目にするようになりました。それでは、素粒子物理学はこれで究極理論に到達したのでしょうか?答えはノーです。

標準模型には依然として多くの謎が残されています。例えば、我々の宇宙には物質と反物質の数が非対称に存在しており、私たちはそれを当たり前のように思っていますが、標準模型ではこの事実を説明することができません。これは「バリオン数生成問題」と呼ばれています。また、宇宙には「暗黒物質」と呼ばれる未知の物質が存在することが多くの間接証拠から示されていますが、標準模型では説明できません。さらに、標準模型には「階層性問題」や「強いCP問題」と呼ばれる、パラメーターの深刻な微調整問題もあります。このように、標準模型には多くの「ほころび」や「不自然さ」が含まれています。そのため、多くの素粒子物理学研究者は、これまで行われてきた高エネルギー実験よりもさらに高いエネルギースケールで、未知の素粒子を含む「標準模型を超える物理(新物理)」が存在することを考えています。

我々のグループでは、自然界に存在するより基本的な理論に迫るため、新物理の現象論を幅広いテーマで研究しています。その中でも特に「フレーバー物理」に注力しています。フレーバー物理とは、クォークやレプトンの種類(フレーバー)が変化する(弱い力によって生じる)現象を指します。この理論予言は精密に計算でき、さらに実験による精密測定が可能であることが特徴です。そのため、フレーバー物理はCERNの大型ハドロン衝突型加速器 (LHC) を凌駕するような感度で、広範囲の新物理を効果的かつ相補的に探索することができます。また、「フレーバーアノマリー」と呼ばれる、標準模型とは矛盾する素粒子実験の観測結果がいくつか見つかっており、国際的に非常に活発な研究分野となっています。

将来の素粒子実験や宇宙観測も視野に入れつつ、これらのほころびや不自然さの点と点をつなげて線とし、その線を組み合わせて究極理論の構築を目指して研究を進めています。

キーワード: 素粒子現象論、標準理論を超える物理、フレーバー物理、CP対称性の破れ、暗黒物質、ヒッグス、有効場の理論、超対称性理論

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主要論文

著書

教育

講義

集中講義

その他

2023(令和5).8 - 現在
名古屋大学 素粒子宇宙起源研究所(KMI) 基礎理論研究部門 客員研究員

連絡先

〒263-8522 千葉市稲毛区弥生町1-33 千葉大学 大学院理学研究院 物理学研究部門 北原鉄平
西千葉キャンパス 理学部1号館4階412号室 [キャンパスマップ]
Email : kitahara AT chiba-u.jp
Phone : 043-290-3371

研究室見学・訪問等、千葉大学素粒子理論研究室に関するお問い合わせ: soryushi AT ml.chiba-u.jp