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研究内容

素粒子論とは?

素粒子物理学は、物質の最も基本的な構成要素(素粒子)とそれらを支配する法則を探求しようとする学問です。 ゲージ場の量子論と呼ばれる理論的枠組みで記述される6種類のクォークとレプトンと呼ばれる物質粒子から物質は構成され、それらの間をゲージ粒子(フォトン、ゲージボソン、グルーオン)と呼ばれる力の伝達粒子が媒介することで、電磁力、弱い力、強い力が働いているというのが現在の素粒子の理解の到達点で、素粒子の標準模型と呼ばれています。 さらに重力にも量子論を適用しようとすると、弦や膜といった拡がった対象をも考えなくてはならないと考えられ精力的に研究されています。

3年生までは、どの分野に進んでも良いように物理学の基礎を一通り学びますが、 当研究室の卒業研究では、素粒子の研究に不可欠な場の量子論や一般相対性理論に関するセミナーを行います。 大学院に入ってからは、これらを基礎にして、具体的テーマを決めて研究を始めることになります。

現在、千葉大学素粒子論研究室では、場の量子論と弦の理論を用いた素粒子の理論的研究を行っています。現在の主要研究テーマは、

等です。

クォークの閉じ込めとヤン-ミルズ理論

[近藤(教授)、 篠原(博士研究員)]

我々のグループは、「クォークの閉じ込め」の解決を目標として「ヤン-ミルズ理論」に関する様々な理論的研究を行っています。

「ヤン-ミルズ理論」とは、マックスウエル(Maxwell)による電磁気の理論を拡張したもので、特別な場合としてこれを含みます。この理論は、「ゲージ理論」と総称されるクラスに属する理論で、「ゲージ」という名前は「ゲージ変換」に由来します。つまり、ゲージ変換を行っても物理的な帰結には影響を与えないような理論を一般にゲージ理論というのです。

皆さんは、すでに、電磁気を学ばれて、Maxwell 方程式に集約される電磁気の理論の美しさをよくご存知と思います。では、なぜそれをわざわざ拡張する必要があるのでしょうか。それは、数学的に拡張が可能というだけではなく、ゲージ理論が、「電気・磁気力」(electro-magnetic interaction)だけでなく、陽子や中性子などを結合して原子核を作る「強い力」(strong interaction)や原子核のベータ崩壊などを引き起こす「弱い力」(weak interaction)も記述する理論と現在では考えられており(実験的にも検証されています)、そのためにはある種の拡張が不可欠なのです。

現在の素粒子論では、物質を構成する根源的な物質は「クォーク」(陽子、中性子、中間子などの元になる素粒子)と「レプトン」(電子、ニュートリノの仲間の素粒子)であり、その間に働く力は4種類に、つまり、電磁気力、強い力、弱い力と重力に分類できると考えられています。クォーク・レプトンとそれらに働く4種類の力を解明すれば、自然界に起こる全ての物理現象は完全に記述できるはずです。これらの物質と力を記述する理論は広い意味で皆ゲージ論であるといえますが、特に、これらの素粒子間に働く力を記述する理論が「ヤン-ミルズ理論」なのです。

「クォーク閉じ込め」の問題とは、クォークはいつも「色」の異なる3つのクォーク(又は反クォーク)の組み合わせ(バリオンと呼ぶ)か、クォークと反クォークの対(メソンと呼ぶ)という形でしか観測されていない、つまり、クォークはハドロン(バリオンとメソンの総称)の中に閉じ込めれていて、未だかって、単独で観測されたことは無い(いつも無色の組み合わせでしか観測されない)のはなぜかという疑問です。

クォークは物質の究極的構成要素と考えられていながらそれを直接観測した人はいないのです(実は、グルーオンもそうです)。もし、単独で観測されたならクォークは電気素量の1/3や2/3といった半端な電荷を持っているはずです。

この問題は、30年近く世界中の理論物理学者が取り組んでいるにもかかわらずいまだに未解決の超難問です。これを肯定的に解決する事がこのグループのひとつの目標でもあります。現在、それに付随した様々な理論的問題を研究しています。

この問題の重要性とその難しさは、ごく最近、クレイ数学研究所(米国ボストン)が発表した7つのミレニアム賞問題(一問正解につき100万米ドルの賞金)のひとつとして取り上げられていることからもわかります。http://www.claymath.org/millennium-problems

更に詳しくは、最近の解説

著書

研究論文

総合報告

等をご覧ください。

場の理論の問題とくりこみ

[山田(准教授)]

水素原子では、ひとつの電子の状態を決めるとそれでエネルギー準位などの様子が決まります。電磁場 E(x) B(x) のようなものでは、空間各点での電磁場の様子を指定して初めて空間全体での電磁場の様子が決まります。このように空間各点での"場"の様子を決めて全体が決まるものを量子力学的に扱うのが量子力学的な場の理論です。このような理論に基づいて物理量を計算すると、答えが無限大になってしまって困るのですが、この無限大は、実は、くりこみという処方を用いて処理することができて、無限大から無限大を差し引いて意味のある形で有限な答えを予言することができます。このような計算はいいかげんに思えるかもしれませんが、電磁場を量子力学的に扱った量子電磁気学(QED Quantum Electro Dynamics) において詳しい計算がなされ、非常に高い精度で理論の予言と実験値が一致していて、精密科学といってよいもの、といわれています。そして、このくりこみは、実は、単に無限大を処理する処方というよりも、物理現象の様々側面、例えば相転移の問題、を理解する重要な考え方である事が判ってきました。 このくりこみの考えを実際に問題に適用していくやり方は様々ですが、1つのアプローチとして、とりあえず空間を格子状に区切って考えるものがあります。もし連続な空間での計算をしたければ格子の間隔をどんどん小さくしてゆくのです。これを格子場の理論というのですが、それ自身でも有用であり、いろいろな問題と可能性を含んだものです。例えば、強い相互作用におけるクオークの閉じ込め問題などを考えるときにも使うことができます。この問題の難しさの原因のひとつは、相互作用が強く近似が困難であることなのですが、格子場の理論では、相互作用がとても強い極限では良い近似法(強結合展開)があります。このように、おもに格子場の理論の方面から、くりこみその他の問題を考えてゆく研究を行っています。

超弦理論

[木村(名誉教授)]

近年、点状粒子の描像に基づく物質観ではなく、弦や膜といった拡がった対象が物質や時空の基本構造を支配しているのではないかと考えられるようになった。このような拡がった対象がも持つ、点状の対象が持つ性質とは本質的に異なった、特有の新しい性質が次々と明らかにされてきた。しかしながら、超対称的な弦や膜の相対論的な量子論的取り扱いはまだ完成していない。この問題に興味を持って研究を行っている。

最近の論文


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