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Research Topic

格子上の強相関量子多体模型と単純な場の量子論(共形場理論・可解場の理論)との関係性

XXZ模型やハバード模型などの格子多体系と、sine-GordonやCFTといった連続極限理論を接続し、定量的予言に結びつけます。

格子模型と場の理論の対応付け

1次元XXZ模型(ハードコアボソン,spinlessフェルミオンと等価)やハバード模型などの単純で基礎的な系の有効理論は、その系だけでなく摂動を加えた系や1次元鎖が結合した高次元系の定量的な予言を与える際に大変有効であることが知られています。 我々は、格子模型(XXZ模型やラダー)とその有効理論(sine-Gordon理論や共形場理論)との間に存在する関係式(格子上の演算子の場の理論表示など)やパラメータを決定し、それらの有効性を明らかにしてきました。 以下、2つの結果について紹介します。

主な成果

(F1) 可積分場の理論を活用した格子系と連続極限理論の演算子間等式の決定

我々の研究以前に、代表的な1次元格子上の量子模型において、格子系の局所演算子とその場の理論表示の間を結ぶ係数(形状因子)の定量的決定方法として、数値的に求めた局所演算子の2点関数の漸近形を利用する方法が確立していました。 我々は、この方法とは独立に、(1)わざわざ考察したい格子模型に適切な摂動を加えて、対応する連続極限が可積分場の理論になるように調整し、(2)可積分理論の厳密に知られている励起スペクトルと数値的に求めた変形格子模型の励起構造を比較することで、元の模型と対応する場の理論の関係を決定する方法を開発しました。 我々の方法では、既に確立している方法とは異なり系の長距離の性質を必要としない為、軽い数値計算で信頼できる結果を得られるという利点があります。

参考文献

(F2) 非線形シグマ模型と整数スピン反強磁性鎖の関係の擬1次元系への応用

1次元整数スピン反強磁性体はスピンギャップのある無秩序な基底状態(ハルデンギャップ相という)を持ち、その低エネルギー有効模型が可積分のO(3)非線形シグマ模型で与えられることが良く知られています。 定量的な数値解析と場の理論に基づく研究から、非線形シグマ模型に含まれる結合定数、スピン波速度、繰り込み因子などの少数のパラメータが元の1次元格子上の反強磁性体のパラメータ(スピンの大きさSと交換相互作用J)の関数として定量的に見積もられています。 我々は、これらの精密な情報と可積分系のformfactor理論を応用して、任意の格子上の交換相互作用で弱く結合した任意の本数の整数スピン反強磁性鎖の低エネルギーマグノン励起スペクトルを定量的に与える理論(鎖間結合に対する摂動論)を構成しました。 さらに、この理論から、2又は3次元的に弱く結合した整数スピン反強磁性鎖のハルデンギャップが閉じる量子相転移点の見積りにも成功しました。

参考文献