Research Subjects

研究内容

主な研究テーマを紹介します。

Research Perspective

物性物理・非平衡物理・場の理論の融合から新たなフロンティアを拓く

研究テーマのコラージュ

佐藤は、これまで主に多体系(膨大な数の単純な構成要素から成る系)が示す普遍的または特徴的な物理現象を理論物理学的方法を用いて探索・予言・解明してきました。 研究内容はおおよそ物性理論・統計物理学と呼ばれる分野に属しますが、これらの分野に対する帰属意識に縛られず、独創性のある新しい成果・さらには新しい分野・概念・理論の構築を目指していきたいと考えています。 平たく換言すると、流行を必死に後追いすることは避け(ある程度流れに乗ることも大事ですが)、自らのアイディアに基づいた新しい研究成果を目指します、ということになります。 研究を生業としていることへの感謝の念を忘れずに、研究活動に打ち込んでいきたいと思います。

自然科学は(特に20世紀以降)猛烈な勢いで発展しその研究対象は拡大を続けていますが、それを分類する1つの方法は対象とする系のサイズ(スケール)による分類法です。 各々のスケール(階層)に普遍的な法則が存在することがこれまでの科学研究で経験的に分かっています。 物性科学・統計物理学は、素粒子・原子核物理学の世界より大きな原子分子のスケール(オングストローム~ナノメートル)から人間程度のスケール(メートル)で生じる現象を主要な研究対象としています。 科学研究は人間によって行われる為、人間のスケールを含むこの物性科学-特に固体物性研究-は他の階層の自然科学より実験研究の遂行が容易(あくまでも他の階層と比べて)であり、それ故、20世紀にもっとも発展・精密化した科学分野の1つと言って良いでしょう。 物性科学・統計物理学は、理論と実験が相互作用しながら発展させることができる理想的な自然科学分野の1つと言えます。 このような性質から、物性科学では、物理学の普遍性と多様性の両方を日常的に感じ取ることができます!

物性・統計物理分野の中で佐藤はとりわけ磁性についての研究経験が多い為、その知識がしばしば拠り所になります。 磁性体模型は他の多体系模型と比べて一般に単純ですが、不思議なことに、実験を定量的に説明する能力も備えています。 これは、素粒子論(高エネルギー極限)とは逆の低エネルギーにおける普遍性の表れとも言えるでしょう。 そのような逆極限において、素粒子論の武器である場の理論が有効性を発揮することも面白いところです。 系の単純さ故、磁性理論分野においては、場の理論に加えて、代表的な模型に対する精密で深い数理構造や多彩な解析方法が解明・発展しています。 最近では理論から予言される美しい数理構造が実際の実験で観測されることも珍しくありません。 また磁性理論と他分野(数理物理、素粒子論、共形場理論、可積分系、トポロジー、情報理論など)とのつながりも深く発展しています。 これらの知識を心の故郷としながら、より広い分野で研究活動をしています。 歴史のある物理分野の知識や考え方は周辺分野でも強力な武器になります。 さらに新しい開拓地の新しい現象を理解する際も、磁性の知識が比較対象を与え、より深い理解へつながることがあるのです。

最近、佐藤は「スピントロニクス」「非平衡量子系」「磁気光学」「熱・電磁気効果」「時間依存外場による量子状態の制御・生成」「フロッケ・エンジニアリング」「散逸量子系」「マルチフェロイクス」「カイラリティ」などのキーワードに焦点を当てて研究を遂行しています。 これらのキーワードで特徴づけられる研究テーマは、しばしば今までの物性科学の各分野の中で学際・境界領域に位置しています(上図)。 このような新しい領域では、多くの解決すべき重要な科学的問題を発掘することが可能です。 同時に、その問題解決には複数の分野についての知識が要求されます。 上のキーワードで特徴づけられるような新しい分野を開拓し、教科書に載るような成果を目指していくつもりです。 特に、新しい物理現象の発見・物質の持つ機能を最大化(最適化)させる、ということに拘った研究をしていきたいと考えています。 より具体的な今までの研究成果や今後の目標については、以下で、分野毎に分けて解説します(現在進行中の研究については、紹介内容を制限しています)。 以下に紹介する内容の多くは、様々な研究者の方々との共同研究により得られた成果です。

私の研究内容に興味を持っていただける若手研究者(若くなくても)がいれば、大変うれしく思います。 私の主観的な研究に対する考え方などについては 研究に対する考え方 をご覧ください。

Research Topics

テーマ一覧

Ultrafast

超高速スピントロニクス・磁気光学・マルチフェロイクスの電気磁気効果

THz円偏光レーザーや光渦を用い、マルチフェロイクスや磁性体におけるスピン・磁気欠陥の超高速非接触制御を理論から探究します。

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光渦とトポロジカル磁気欠陥の模式図
Nonequilibrium

非平衡量子系・新しい量子状態の生成・制御

強力なレーザーや時変外場で量子多体系を駆動し、平衡系では実現しないトポロジカル量子状態や非平衡相を創成・制御します。

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フロケ理論による時間周期駆動の概念図
Spintronics

熱及び光誘起輸送現象・スピン流輸送・ホール効果

温度勾配や光照射で誘起されるスピン流、熱ホール効果、量子スピン液体の熱輸送を、微視的模型から明らかにします。

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スピン波を介したエネルギー輸送のイメージ
Quantum Order

不思議な量子相(スピン多極子・ネマティック・カイラリティ)の検出方法の提案、及び固体電子系の電磁場応答の理論

スピン液体や多極子秩序、カイラリティ秩序の検出法に加え、低次元電子系の電磁場応答や共鳴現象の理論を構築します。

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J1-J2スピン鎖の結晶構造
Frustration

フラストレーションや静磁場が誘起する新しい秩序と相転移

フラストレーションや静磁場が誘起する新秩序、カイラリティ、スピンネマティック相、磁場誘起相転移を単純な模型から解明します。

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フラストレート磁性体のスピンチューブ模型
Correlated Electrons

格子上の強相関量子多体模型と単純な場の量子論(共形場理論・可解場の理論)との関係性

XXZ模型やハバード模型などの格子多体系と、sine-GordonやCFTといった連続極限理論を接続し、定量的予言に結びつけます。

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格子模型と有効場の理論の関係
Cold Atoms

冷却原子系特有の物理現象

人工的に自由度を制御できる冷却原子系で、固体では得られない自発対称性の破れや新奇秩序の創発を理論的に提案します。

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冷却原子ガスにおける自発回転のイメージ