千葉大学素粒子実験

素粒子実験研究室について

当研究室は2021年1月に発足したばかり新しい研究室です。素粒子、特にニュートリノに焦点を当てて研究を行っていきます。

ニュートリノを用いた新物理探索

ニュートリノはその生成・検出の難しさから未だ多くの性質が未解明でです。例えば素粒子として基本的な性質である反応断面積についても限られた実験データしかありません。3種類のニュートリノ (電子、ミュー、タウニュートリノ)の高エネルギーでの振る舞いを詳細に研究することは素粒子標準理論の検証だけではなく、新物理への糸口を掴むことになるかもしれません。本研究室では加速器を用いたニュートリノ実験を通して、現代素粒子宇宙物理学の謎に迫ります。

タウニュートリノ (NA65/DsTau)

3世代あるニュートリノの中で最も理解が乏しいのがタウニュートリノです。これまでタウニュートリノを直接的に観測したのはDONUT実験(2000年に初観測)しかありません。その後の実験はニュートリノ振動を介した測定はありますがニュートリノ振動による影響を受けてしまうため、タウニュートリノの性質を調べるのにはタウニュートリノを人工的に作り実験を行うにはその生成過程を詳しく知る必要があります。そのための実験がNA65/DsTau実験です。Ds中間子の観察からタウニュートリノの生成過程の解明を行い、将来の大統計でのタウニュートリノ測定への道筋を立てます。

LHCを用いたニュートリノ実験 (FASERnu)

これまでに衝突型加速器(コライダー)を用いたニュートリノ研究は前例がありません。我々は世界最大のコライダーであるCERNの大型ハドロンコライダーLHCを用いて史上初めてコライダーニュートリノ実験を行います(FASERnu)。これにより、過去の加速器実験より一桁高いTeV領域の高エネルギーフロンティアを開拓します。2022年からのデータ取得で約10000事象のニュートリノ反応を見込み、3世代それぞれのニュートリノの生成・伝搬・相互作用をまったく新しい運動学的レジームで解明します。