千葉大学理学部物理学科・大学院融合理工学府物理学コース

研究室の紹介

素粒子論

素粒子論とは、狭義には物質や力の最も基本的な構成要素である素粒子と、それらを支配する物理法則を場の理論を用いて探求しようとする学問です。また、広義には、場の理論そのものの研究や、場の理論を他の物理学や数学へと応用する学問です。私たち素粒子論研究室では、素粒子の現象論的研究を主に行っており、フレーバー物理を中心に、CPの破れ、ヒッグス粒子、ダークマター、超対称性、素粒子論的宇宙論、有効場の理論などを通して、素粒子標準模型を超える物理に迫る研究をしています。さらに、場の理論の相互作用が強い系への適用、特に繰り込み群の方法やセルフコンシステントな近似法などの非摂動的手法の理論的研究も行っております。

素粒子実験

素粒子実験研究室では、物質の最も基本的な構成要素である「素粒子」を研究し、宇宙の真の姿を解明することを目指しています。そのために、加速器と飛跡検出器を主な手段として用い、具体的にはスイス・ジュネーブのCERN研究所で行われているFASERニュートリノ実験やNA65/DsTau実験を中心に、ニュートリノの研究を進めています。例えば、FASER実験では人工的に作り出せる最高エネルギーの環境下でニュートリノの研究を行っており、千葉大学が掲げる「より高みを目指す」という理念にも通じる挑戦的な研究といえます。また、私たちが得意とするエマルジョン飛跡検出器は、50ナノメートルという他の検出器を圧倒する高精度を誇ります。この技術を活用することで、タウニュートリノの研究という極めて難易度の高い課題に取り組み、重い粒子におけるレプトン普遍性の検証など、現代の素粒子物理学が直面する重要な課題に挑戦しています。

原子核物理学

有限量子多体系としての原子核の構造等について,理論的立場から研究しています。

宇宙物理学

宇宙物理学研究室では、宇宙大規模構造からブラックホール・中性子星合体、宇宙線加速や天体磁気圏など、様々なスケールにまたがった宇宙現象を理論・シミュレーションのアプローチによって明らかにする研究をしています。一般相対性理論を元にした重力レンズ効果や重力波、原子核物理、プラズマ物理などを駆使して現象の解明に挑んでいます。国立天文台やJAXAのプロジェクトや、欧州や米国の研究機関が主導する国際的なプロジェクトにも連携して観測と密着した理論シミュレーション研究を進めています。また、本研究室メンバーはハドロン宇宙国際研究センターの一翼を担っており、高エネルギー宇宙線の起源の解明に挑んでいます。日本のフラッグシップスーパーコンピューター向けの超並列数値計算、AIの天文学への導入など、最先端のソフトウェア開発をしていることも特徴です。

宇宙観測実験

宇宙観測実験室では、「ニュートリノ天文学」・「マルチメッセンジャー天文学」という二つの軸に沿って、新たな宇宙観測研究を牽引しています。前者は、IceCube実験施設で観測されたデータを解析することで、巨大ブラックホールなどから放出される高エネルギーを持つ素粒子ニュートリノを測定し、極限天体現象を捉えることを目的としています。一方、後者では、ニュートリノ、X線、ガンマ線といった複数の粒子の情報を組み合わせることで、高エネルギー宇宙現象の起源探索を行っています。また、現在IceCube実験は次世代実験「IceCube-Gen2」への拡張計画を進めており、そのための新型光検出器の開発を行うなど、ハードウェア開発の推進も積極的に行っています。

  1. 南極氷河を標的に用いた宇宙ニュートリノ探索実験:IceCube によるニュートリノ天文学
  2. ニュートリノ、X線、ガンマ線を組み合わせた高エネルギー天体現象の研究:マルチメッセンジャー天文学

物性理論

物性理論研究室では、佐藤と星野が連携を取りながらも独立に研究室運営を行います。
佐藤は主にスピントロニクス、光物性科学、非平衡物理学、磁性、トポロジカル物性などの研究、星野は主に強相関電子系、超伝導、固体中の相対論効果、トポロジカル欠陥構造などの研究に精通しています。
物性物理学の研究領域は広大であり、身近な物質群すべてが研究対象になり得ます。外部パラメータ(温度、圧力、磁場、電圧など)を変化させて多彩な物性(磁性、超伝導、強誘電性、超流動など)が創発すること、電磁波や熱勾配を物質に加えて、物質を瞬間的に磁石にしたり、電流・スピン流・熱流を流すこと、異種物質を接合して新しい機能性(トポロジカル状態の発現、電気抵抗の劇的な変化、界面での磁性の発現など)を探索すること、など、身の回りの物質には摩訶不思議な性質が潜んでいます。実際、我々の身の回りの電子機器などは、これらの性質を巧く利用して動作しています。
場の量子論、グリーン関数法、繰込み群などの高度な理論物理学的方法や数値解析法(シミュレーション)を駆使して、上記の現象を深く理解したり、新現象を予言することを目指しています。構築した理論が机上の空論ではなく、それを用いて身の回りの不思議な物理現象を記述できることろが物性理論の醍醐味の1つでもあります。理論と実験が深く関わる分野と言えます。また、物性理論の学習・研究を通じて、論理的思考能力を深めるとともに、実社会でも役に立つプログラミング能力も身に着けることが可能です。

電子物性物理学

電子物性研究室では、強相関電子系物質(量子物質)が示す超伝導、磁性に興味をもち、その起源を探る研究を行っています。圧力制御によって、物質はその性質を変えますが、圧力下での電子物性を明らかにすることも主なテーマの一つです。また、トポロジカル物質など、近年急速にその研究が進展している物質群等も視野に入れて研究を展開しています。

光物性・量子伝導物理学

光物性・量子伝導研究室では、光と電気伝導という二つの手法を融合させ、ナノ構造物質における複雑な量子効果や、実用化が期待される先端半導体材料に潜む基礎物理の解明に取り組んでいます。光物性研究は、物質の内部構造や特性を光で明らかにする分光学を基盤としていますが、近年のレーザー技術の進展により、光を用いて物質の特性を制御するという新たな視点での研究も盛んに行われています。私たちの研究グループでは、光による物質の冷却や、光渦という新しい形態の光を活用した物性制御といった、最先端のテーマにも挑戦しています。さらに、新材料の探求や先端的な実験手法を駆使することで、未解明の光現象や革新的な光機能の創出、その原理解明を目指しています。

非線形・ソフトマター物理学

非線形・ソフトマター物理学研究室では、多彩なダイナミクス・パターンが見られる非線形系について研究を進めています。系のふるまいや数理的な取り扱いが整備された線形系に対し、複雑なふるまいを示す非線形系は、現代の物理学における大きな未開拓分野です。具体的には、顕著な非線形性を示す系としてソフトマターを中心にアクティブマター、複雑流体、振動子系、生命現象などを扱います。現象の本質的な理解を深めるために、実験的なアプローチを主に行いますが、理論、数値計算も組み合わせながら、研究を進めています。

加速器・医学物理

加速器・医学物理の説明文が入ります。

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