研究室ガイド
このページは、千葉大学理学部物理学科3年生のために書いたものです。
研究の目的
強く相互作用する多電子系(強相関電子系)の示す物性の理解という問題は、高温超伝導や重い電子系など観測される多彩な現象に裏付けられた物性物理学の基本問題であり、これを研究する強相関電子系の研究分野は、近年、国内外において物性分野の確固とした中心を形成している。 本研究室では、この強相関電子系の電子状態を、大型計算機を用いた計算物理学的手法、あるいは場の量子論を基礎とする解析的手法により研究している。 目標は、強相関電子系を記述する新しい物理概念の創成、あるいは電子状態理論の枠組みの構築に関して、基礎的観点から貢献することである。
要するに、量子力学と統計力学を基礎に、強相関電子系という固体電子系の多体問題を実験事実を見据えて研究する、千葉大で唯一の研究室なのだ。
太田研から西方を眺める (中央は富士山)
メンバーの研究内容
例えばこれやこれをご覧下さい。研究内容の雰囲気が伝わると思います。
大学院
- 自己エネルギー汎関数理論(SFT)に基づく変分クラスター近似(VCA)の開発と応用
- 強相関電子系の特異な量子状態に関する基礎理論の構築と物質科学
- トポロジカル絶縁体への電子相関効果の理論
- 励起子ボーズ凝縮とその周辺の超伝導,新規超伝導体の発現機構の微視理論
- 光学格子に閉じ込められた冷却原子系の研究
- 第一原理計算(WIEN2K)の応用
- 密度行列繰り込み群(DMRG)の開発と応用
4年
- 広い意味でのマクロ系の基礎理論の勉強
- 超伝導、電子相関、多体系の量子論、統計力学などの勉強
- VCAやDMRGなどの数値計算手法に関する勉強
- 卒研では何か具体的な計算を行うことが多いです。
共同研究者
- 励起子絶縁体の研究(独Univ. Greifswald)
- DMRGによる低次元強相関電子模型の研究(独IFW Dresden)
- 少数系の厳密対角化法による強相関電子系の研究(独KIT)
4年生スペース(左)と院生スペース(右)
卒業後の進路
具体的にはここを見てください。
太田研から東京方面を眺める
太田研究室で何が学べるか
- 多粒子系の量子・統計理論、強相関電子系の理論などの、基礎からの透徹な理解。 4年の輪講は毎週1回きっちりやる。基礎の勉強です。
- 実験事実の解釈から基礎理論の構築にいたるまでの物性物理学の幅広い知識の習得。 実験グループと連携して最先端を議論する「強相関セミナー」を行っています!
- 国際的視野の育成・外国との共同研究。 海外でポスドクはもちろん、MCで国外滞在も可能。
- 少人数指導体制。 教官の熱心できめ細かい指導とフレンドリーな環境が太田研のモットーです。
- 4年生で学ぶこと 院試までは、量子・統計関係の基礎の本の輪講。それ以後は進路・希望に依存。
- 修士課程で学ぶこと 専門分野の研究、学会での発表、学術論文になる内容の修士論文をまとめる。
- 博士課程で学ぶこと ひとりで世界の最先端に立ち向かう力を養成する。
太田研輪講
教官からのメッセージ
4年生では、広い意味での統計力学や多体量子論など、マクロ系の基礎理論を根気良く学んでもらいます。 この種の基礎があれば、将来広範な未開分野にも進出可能です。 卒業後は大学院へ! 海外への進学など積極的に推進しますが、やはり「研究者を目指す人」に来て欲しいですね。
この分野の研究テーマは広大です。 個性・興味に応じて、基礎理論の構築から数値計算、具体的物質の研究に至るまで、自由に主体的に自分の方向を決定していくことができます。 4年生では多体電子論の基礎を根気よく学ぶことから出発し、連続的に専門的内容に移行していくことになります。 限られた天才だけが活躍できる分野ではありません。 やる気と若干の能力さえあれば、修士課程でも学術論文を次々に出版していくことが可能です。 物理が好きで基礎がしっかりしているひと、統計力学演習の内容が気に入ったひと、本気で物理を極めたい人、将来「物理で飯を食う」気概のある人に、ベストの環境を提供します。 コンピュータ好きの人も(そうでない人も)大歓迎!
研究室訪問
毎年3人程度の新4年生を受け入れています。 ご関心がある学生さんはいつでも太田研に遊びに来て下さい。 時間がある限り対応します。 場所は、理学部2号館(理学系総合研究棟)7階701号室です。 ご質問は太田までお気軽にどうぞ。
また、他大学からの大学院進学希望者の方も、お気軽に訪ねて来て下さいね。 その場合、事前にメールか電話でアポイントを取ってくだされば確実です。
建物全景
研究室FAQ
太田研に関するよくある質問にお答えします。⇒ 秘密の部屋へどうぞ!